ここから本文です。
平成15年8月27日
平成18年2月27日
七尾市万行町
22,872平方メートル
万行遺跡は、七尾市街地から東に2キロメートルほど離れた低台地の先端部に所在する。
東側には臼池川が流れ、北側に七尾南湾を臨む。平成10年度からの調査で弥生時代後期から
古墳時代にかけての竪穴建物跡や中世の懸仏や天目茶碗など、遺構・遺物が数多く発見され、
縄文から近世へと続く複合遺跡であることが分かった。
なかでも、特筆すべき遺構は、柱の直径が40センチを測る古墳時代初頭の国内最大級の
大型掘立柱建物群である。大型建物群は、南北74メートル、東西39メートル以上の範囲を区画
された中に計6棟発見されており、西群(3棟)と東群(3棟)に大きく分かれる。
この大型の掘立柱建物群の性格については、総柱式の建物が整然と並ぶ点や海に面した立
地から倉庫群と想定できる。また、造営主体については、能登一地域だけではなく、いくつかの
クニ(越中や越後)などが連合して造営していたとする説とヤマト政権が直接関与したとする説
があるが結論は出ていない。
古墳時代初頭という時期に高度な測量技術と建築技術を駆使し、巨大な建物群を造営した
集団が七尾湾に存在したことは、日本の国家形成を考える上で、また建築史の面から見ても
極めて重要な遺跡である。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。